Studio Elephant

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2026.11.05 コラム

会場が変わっても、伝えたいことは変わらない

テクニカルオペレーターの藤井です。今回は、巡回展のように「同じ内容を、いくつもの会場で見せる」ときに考えていることについて。

同じ作品、同じ演出プランのはずなのに、会場が変わるだけで見え方はがらりと変わります。天井の高さも違えば、照明を吊れる位置も違う。

お客さんの動線も会場ごとに組み直しになります。当然、映像を映すスクリーンのサイズも、音の響き方も変わってきます。図面の上ではうまくいきそうに見えても、実際に現場に入ってみると「あれ、思っていたのと違う」ということが少なくありません。そこで大事になるのが、最初の会場でうまくいった演出の、どこが「核」だったのかを見極めることです。照明の色そのものが効いていたのか、それとも暗転から明転に切り替わる、あのタイミングが効いていたのか。音の大きさが効いていたのか、それとも一瞬音が止まる静けさのほうが効いていたのか。表面だけをそっくりそのまま持っていこうとすると、会場が変わった瞬間にうまくいかなくなることが多い気がしています。

だから私は、演出をつくるときにできるだけ「なぜこの見せ方にしたのか」を言葉にして残すようにしています。感覚だけで組んだ演出は、自分にしか再現できません。でも理由まで言語化しておけば、会場の制約が変わっても、その理由に立ち返って作り直すことができる。会場のキャパシティも、機材の持ち込み可否も、搬入出にかけられる時間も、巡回展ではほぼ毎回条件が変わりますが、それでも変えてはいけないものと、そのつど調整していいものの線引きさえできていれば、慌てずに向き合えます。結局ここでも軸になるのは、「今回、いちばん伝えたいことは何か」という、いちばん最初に立てた問いです。見た目の再現ではなく、伝えたいことの再現を目指す。そのほうが結果的に、どの会場でファンの方に見ていただいても、「ここで見られてよかった」と思ってもらえる展示になると信じています。

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