2026.08.27 コラム
「何を伝えるべきか」を見失わない
初めまして、テクニカルオペレーターの藤井です。私は、自分の仕事について思っていることを書いていこうと思います。今回は、私がいちばん大事にしている考え方について。
アニメやゲーム等の展示空間をつくるとき、いちばん考えているのは「この作品の世界観や名シーンを、ファンの皆さんにどう届けるか」ということです。映像を大きくしたり、照明を派手にしたりすること自体は、実はそんなに難しくありません。技術的にできることを並べていけば、それっぽい空間はつくれてしまいます。でも、実際にはコスト面だけでなく会場の仕様や前後の流れなど色々な制約の中でつくっていかなければいけません。その制約の中、私が仕事のなかでいちばん気をつけているのは、「何を伝えるべきか」を見失わないことです。関わる人みんなが「うん、これでいい」と納得できる形に仕上げることを、常に頭の片隅に置いています。
展示会には、クライアントをはじめ、スポンサーや版元、会場のスタッフ等関わる人は多くいます。それぞれ立場が違うので、大事にしたいポイントも少しずつ違います。そのなかで「今回のこの展示で、いちばん伝えたいことは何か」を最初にはっきりさせておかないと、演出がだんだんぼやけていってしまう。だから私はまず「何を伝えるか」を自分の中で言語化するようにしています。極端な話、機材や演出方法は後から調整できます。でも軸がぶれてしまうと、どんなに技術を尽くしても、見る人の心には残らない。現場を重ねるほど、その感覚は強くなっていきました。

正直、プランニングをする上で判断に迷う瞬間がたくさんあります。時間もない、機材の制約もある、そのなかで「じゃあどこを削って、どこを残すか」を決めないといけない。そういうとき、私はいつも「これは、伝えたいことにちゃんとつながっているか」に立ち返るようにしています。シンプルなことのようですが、これがブレると、演出全体がまとまらなくなる。逆に言えば、この軸さえしっかりしていれば、多少条件が変わっても、ちゃんと納得のいく演出にたどり着けるという実感があります。私は常々思うのですが、いい演出というのは、派手な技術の見せ方から生まれるものじゃなくて、「何を伝えるべきか」をどれだけ突き詰められたかで決まるものではないだろうかと。