Studio Elephant

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2026.10.01 コラム

同期のズレは、違和感

テクニカルオペレーターの藤井です。今回は、自分がふだんいちばん手を動かしている、映像・音響・照明の「同期」という作業について。前回、私は「何を伝えるべきか」を見失わないことがいちばん大事だと書きました。その考えを、実際の画面の裏側でどう形にしているか、という話です。

私が担当しているのは、映像のタイムコードをきっかけにして、音声の再生と、Art-Net経由での照明制御を同時に動かす仕組みづくりです。言葉にすると単純なのですが、実際にやってみると、映像がほんのわずか早く感じられるだけで、見ている人には「なんとなく合っていない」という違和感として伝わってしまいます。以前代表のコラムでもありましたがこの違和感を大切に考えないと中々気づくことは出来ません。数字の上では合っているはずなのに、体感としてはズレて見える、ということが普通に起こります。

だから私は、仕組みを組んだあとに必ず、実際にその場で目と耳で確認する時間を取るようにしています。数値上のタイミング合わせだけでは足りなくて、会場の広さや音の響き方、照明の立ち上がり方によっても、感じ方が変わってくるからです。しかし、同じ設定のはずでも“会場が変わる“と調整をやり直すことになるというのはよくある話です。その基準にしているのは、実際にお客さんが立つであろう場所に、自分でも立ってみることです。正面から見たときと、少し横にずれた位置から見たときとで、同じように感じられるかを確かめます。何度か立ち位置を変えてみると、数値の上では問題ないはずなのに、ある角度だけ引っかかる、ということに気づくことがあります。本番前の最終確認までに現場毎の落とし所を見つけ、ズレという違和感を感じることがないように作り上げていきます。

同期という作業は、うまくいっているときほど、誰にも気づかれません。派手な演出の裏側は、実はこうした細かい積み重ねでできているのだと、現場に出るたびに感じます。誰にも気づかれないくらい自然に見えることこそが、この仕事でいちばん目指しているところなのではないだろうかと。

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